
木には、湿度をコントロールするすぐれた機能もあります。空気中の湿度が高いときには水分を吸収し、逆に低いときには水分を放出します。湿気の多い日本にとって、この調湿機能は大きなメリットになります。
この機能で有名なのが、奈良・東大寺の正倉院です。奈良時代の美術工芸品をはじめ、国家的宝物が数多く収蔵されるこの宝庫は、檜造り、単層、寄棟本瓦葺きで高床式に造られています。この構造によって、木の自然な調湿作用が働き、ほどよい通風と防湿が図られて、およそ1200年にも渡って貴重な宝物の保存を可能にしてきました。
さらに、正倉院の宝物は、建物の調湿作用で保存されるだけでなく、唐櫃という厚さ2cmのスギ材の箱に納められています。ここにも長期保存の秘密がありました。
スギ材で唐櫃と同じ箱を作り、箱内の湿度を調べたところ、外部の湿気に関わらず、65%前後に保たれるのがわかりました。正倉院の唐櫃内の湿度もほとんど一定であったと考えられます。
このような木の調湿機能は、私たちの健康を保つためにも大きく関係します。
人が生活するにあたって、湿度は高すぎても低すぎても、健康にはマイナスです。湿度の大幅な低下はインフルエンザなどのウィルスの繁殖を活発にし、また、多湿になるとカビ・ダニが発生しやすくなります。
近年、住宅の気密化が進んだこともあり、ダニのフンや死骸、カビなどのハウスダストによる喘息やアレルギー疾患が増加傾向にあります。ダニは、高温・多湿の場所を好んで生息しますが、湿度が70%以下の環境では繁殖しにくいことがわかっているため、調湿機能をもつ木材はとても効果的です。
また、木の放つ芳香成分・フィトンチッドには殺菌作用も含まれており、木の調湿機能と相まって、ダニの害を抑えることが期待できます。
住まいは、家族とともに永い時間を過ごす大切な場所。だからこそ、目に見えない湿度まで健康で快適な住空間づくりに貢献する木の家は最高の住まいなのです。
